そもそもなぜ自転車なのか、日本なのか。
単純な話、自転車が好きで、日本が好きだからだ。
数年前まで自分は生活のすべてを捧げるほど音楽に没頭していた。
15歳でドラムを始め、いろんな人に出会い、たくさんの音楽に触れ、多くのバンドに参加させてもらい活動してきた。
あるときバンドでアメリカツアーをしている時期があった。
その道中、
3週間14公演で長距離移動ばかりのツアー終盤、
初めて買ったスポーツ自転車は、
それからなんやかんやあって音楽活動を殆どしなくなり、
ちょうどその頃、
そんなものを見たら自分の愛車でも試したくなる。
当初は走ることより自転車をいじることを楽しんでたように思う。
自転車とは別に、
伝えたいことが伝わらないという悔しさを噛み締めた。
それでもやり甲斐を感じ始め、
その勢いもあってどんどん自転車にも熱が入っていった。
本当にいろんな所を走った。
初めて一日の中で100kmを走ったときの達成感は今でも覚えて
フレームオーダーもして1から自転車を組み上げたりしたし、
ソロで行くこともあれば、2人が3人に増え、
体の熱量を使い切るまで走り、行きたいところに行く。全身が「
頭の中のどろどろが流れていき、
「いつか自分は自転車で日本や世界を周るだろう、周りたい」
気付いたら25歳になり、こんな考えを持つようになった。
その「いつか」は突然やってくる。
ある日会社のミーティングで業務縮小することを突如告げられ、
そしたら同じく解雇された先輩が独立して、
日々生活していく中で、
「ああ今なんだな」と思った。
すごく感覚的だし、
でも一度思ってしまったらそう簡単に考えは変わらない。
時間には猶予があったので自転車を新調し、
旅の無事と、あと大事なことを祈った。
季節や気候、自然と人、、
自分が生まれ育った国くらいは自分の眼で見てみたい。
それでも自分の脚で、
この旅が終わってもやるべきことはいくらでもある。
その先に何があるかなんてわからない。
過去から現在に至るまで数多の自転車乗りがそうしてきたように、
2013年5月